2010年10月05日
「価格」だけではない?!ショッパー(買い物客)ニーズ ~買い物実態調査『Shopper360』(2010年)からの考察
長引く消費不況の中、売り場では終わりのない低価格競争が繰り広げられています。継続的な価格訴求戦略は、ショッパー(買い物客)の参照価格(値ごろ感)自体を低下させることになり、小売店への更なる値引き期待を生じさせるだけでなく、商品のブランド価値を損なわせる危険もあります。「使う/食べる/飲む人」である消費者の消費時点のニーズにどう応えるかという課題に加え、「買う人」であるショッパー(買い物客)の購入意思決定にいかに影響を与えられるかが、メーカー/ブランドにとって重要な課題となっています。ショッパーが「買いたくなる」、「思わず買ってしまう」という状況を作り出すには、何が必要なのでしょうか。その問いに答えるには、まず買い物のニーズや行動をショッパー視点で理解することが重要なカギとなります。
不況対策として打ち出される「特売」、「EDLP」などの価格訴求は、確かにショッパーにとって魅力です。食品・日用品の買い物実態調査『Shopper360』(対象:全国、27,720人)でも、約6割のショッパーが「いつも特売品を買う」と回答しており「安さ」を求めて買い物をしている実態が見うけられます。
また、『Shopper360』では、小売店への満足度を「全般的な評価」、「推奨意向」、「今後の利用意向」、「他店と比べた利点」の4項目による総合小売店満足度(RSI=リテール・サティスファクション・インデックス)で算出しています。下の表は、今年のRSIランキングのトップ10ですが、価格を売りにしている小売チェーンの健闘が目立ちます。消費不況の今、ショッパーの購買意欲を喚起できるのは、やはり価格訴求だけなのでしょうか。
| 【RSI(総合小売店満足度)トップ10】 | RSI | |
|---|---|---|
| 第1位 | オーケーストア | 126 |
| 第2位 | コストコ | 118 |
| 第3位 | コスモス | 115 |
| 第4位 | ジョイフル本田 | 113 |
| 第5位 | ユニバース | 113 |
| 第6位 | ベイシア | 112 |
| 第7位 | 成城石井 | 112 |
| 第8位 | ダイコクドラッグ | 110 |
| 第9位 | ミスターマックス | 109 |
| 第10位 | サンディ | 109 |
※全国99小売チェーンが対象、RSI平均は100
『Shopper360』のRSIのランキングで上位に入る小売チェーンについて、どのような点がショッパーから支持されているのかを詳細にみてみると、いずれの店も「価格」だけではなく、他の強みを持っていることが分かります。例えば、オーケーストアは「品質・信頼性」や「品揃え」、コストコは「買い物の楽しさ」、コスモスは「買い物のしやすさ」「買い物の手早さ」において、ショッパーから特に高い評価を得ています。価格訴求は、ショッパーの目を引き付けて来店を促進する役割を果たします。しかし、来店したショッパーの満足を獲得し、他店ではなくその店でまた買い物をしたいと思ってもらうには、価格以外の要素での特徴づけ、つまり「こんな買い物をしたいならばこの店」といった訴求が不可欠なのです。
ショッパーが買い物の最中に望んでいることの中で見逃してはならないのは、「手早く買い物したい」というニーズです。直近の食品・日用品の買い物中に考えていたこと(複数回答)として、「お金を節約すること」(35%)が最も多い回答でしたが、「短時間で買い物を済ませること」(34%)もほぼ同程度に大きなニーズであることが明らかになっています。近年、ネットスーパーなどの利用者が増加していると言われていますが、『Shopper360』の宅配(ネットスーパー・生協など)の利用者が宅配サービスを最も評価しているポイントは、正にこの「時間をかけずに買い物できる」(75%)という点です。今後、実店舗の小売店がインターネット上の仮想店舗と競い、差別化を図るためには、仮想店舗が得意とする「手早く買い物したい」ニーズに応え、更に実店舗でしか味わうことのできない「売り場体験」を提供することが極めて重要です。
このように、現在の消費不況の中でも、ショッパーのニーズは単純に「価格」にだけあるのではありません。効果的な非価格訴求戦略を策定するためには、ショッパーが買い物機会に持つ顕在・潜在ニーズに広く目を向けることが第一歩となるはずです。メーカー/ブランドは、小売店と協働して、価格訴求に頼らないカテゴリー成長のための店頭施策を展開することで、win-winの関係構築を実現することができるでしょう。『Shopper360』では、ショッパーのニーズや買い物実態がカテゴリーごとに異なることが明らかになっています。カテゴリーごとの買い物機会に関するインサイトこそが、店頭施策の効果を確実に向上させる強力な後押しとなるでしょう。
今回ご紹介しました情報について詳しい内容は、こちらの『Shopper360』で見るショッパーニーズ、「低価格」だけではないショッパーニーズに応える、をご覧ください。
食品・日用品の買い物実態調査『Shopper360』の調査概要は、こちらをご覧ください。
